女学生の戦争体験記
体験記は太平洋戦争の真っ直中で高校時代を過ごした高女31~36期の卒業生に、当時の生活を後世に伝えるために執筆を依頼し、北水会が一冊の本にまとめたものです。以下の文は刊頭の「はじめに」を掲載しました。
昨年6月、母校は創立80周年を迎えた。明治、大正、昭和、平成と4代にわたる長い歴史が『創立八十周年記念誌』にしたためられた。その中に、「学徒動員の思い出」という記事が掲載され、注目を浴び、大きな反響を呼んだ。
楽しい学校生活真っただ中の乙女たちの青春を奪い去った忌まわしい戦争、昭和12年の日支事変、大東亜戦争、太平洋戦争へと拡大し、戦局が進むにつれ、昭和19年、ついに学徒動員令が下った。ペンを旋盤に持ち替え、学舎を去っていった乙女の心はいかばかりか、胸が痛む。何を思い、旋盤を握っていたのであろうか。「卒業して私に出来ることは旋盤を操作することだけだ」と、書かれている。
一方、空襲のたびに壕には入り、B29の投下する爆弾、焼夷弾に家こわされ、焼かれ、屍が累々と転がった。グラマン戦闘機に狙われ、逃げまどった空襲の思い出。
衣料不足、物資不足、食糧不足とないないづくしの中で耐えた耐乏生活。「欲しがりません勝つまでは」「撃ちてし止まむ」とがんばった青春の日々。
多感な乙女たちもよわい既に還暦を迎え、あるいは、迎えようとしている。時あたかも中東に湾岸戦争が始まり、懲りもせず戦火が広がっていく。戦争はごめんだ。してはならない。「永久にしてはならないのだ」と、声を大にしていえるのは我々に与えられた特権であり、義務であると・・・
日増しに薄れゆく記憶の中で、今、書き留めておかねばという声が彷彿として巷におこり、胸にしまっておきたい嫌な思い出も白日にさらして書きつづられたのが、この貴重な一冊の本、寝屋川高女の『女学生の戦争体験記』である。 この本が北水会会員のみならず、一人でも多くの人たちに呼んでいただき、世界平和の一翼を担うことができれば幸いであり、ありがたいことである。
平成2年5月
大阪府立寝屋川高等学校・北水会
会長 馬場 一




















